人が死ぬ、ということはどういうことだろうと考えた。
存在が空白になってしまう。
その空白は、決して他の誰かや何かでは埋まらない。
その存在しか埋められない。
しかし、その存在がいなくなってしまう。
そして、それは逃れ難い。悲しみ、苦しむ。
そうしている間に、自分自身歳を重ね、老い、病にかかり、死んでいく。滅ぶ。
必ず死なねばならないいのちを、今生きている。逃れることはできない。
一人称の死。
それが繰り返されていく。生死流転。この流れから出る。
仏法の眼目。しかし、常没である自分がそこから抜け出すことはできない。
故に、助けるとの如来の仰せにまかせる。
結局、死ぬということがわからない。
ただ言葉を捜しても、その言葉も見つからない。
そして、時が流れて、忘れていく。念佛を申す。それだけである。
南無阿弥陀佛