苦とは、思い通りにならない、ということ。
すなわち、形を持つ存在は微塵の例外なく、
一切が苦の存在である。
無常を免れるものあらず。
移り変わっていく定めにある。
われも、かれも、かのじょも、一人も免れること
あることなし。
この事実から目を逸らさずに、凝視する。
わが現実、即ち煩悩に沈没した生活を直視した
時、必ず地獄に行くよりほかに道なし。
地獄一定すみかぞかし、と親鸞聖人は述懐された。
その存在とは、誰のことか?
わがこと、我が身のこと。
だからこそ、汝我が名を称えよ、必ず往生させん、
と南無阿弥陀佛と仰るのである。
もはや、道はない。称えよの仰せに、
そのまま呼応するよりほかになし。
称えて助かろうなどは、余裕がある人の話で、
もう自分には全く余裕はないのである。
南無阿弥陀佛